中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の利用を制限する動きが欧米を中心に広がっています。特に米国が厳しい姿勢を見せており、3月1日には下院の外交委員会で国民によるTikTokの利用を禁じる法案が可決されました。また、米メディアによると、すでに半分以上の州で、州政府の端末などでTikTokを使うことが禁止されているといいます。そもそも、なぜTikTokが批判されているのでしょうか。行動経済学が専門の真壁昭夫・多摩大学特別招聘(しょうへい)教授に聞きました。
――米下院の外交委員会ではTikTokの利用を国民に禁じる法案が可決されました。かなり踏み込んだ法案だと思いますが、どのように受け止めましたか。
いずれこういうことが起きるとは思っていました。予想よりも遅かったという印象です。私はもっと早く、昨秋の中間選挙前には動きがあるだろうと思っていました。バイデン政権にとって、選挙でも有利に使える材料のひとつになりますから。しかし、そのころはインフレが大問題になっていて、それどころではなかったのだろうと考えます。
ナンバー2を「たたいて」きた歴史
――TikTokはトランプ前政権時代にも使用禁止を命じる大統領令が出されるなど、ずっと論争の火種となっています。なぜ米政府は強硬な姿勢を崩さないのでしょうか。
そもそも米国は、世界に圧倒的な経済力や軍事力で影響力を及ぼす「覇権国家」としての現在の地位を失わないようにしている、という前提があります。そのため、これまでもナンバー2の国々を「たたいて」きました。
日本もその対象でした。19…
- 【視点】
TikTokは日本でも、10代、20代では、LINE、Youtube、Twitter、Instagramに次いで利用される人気のアプリとなっています(利用率は10代で62%、20代で47%〔総務省情報通信政策研究所「令和3年度情報通信メデ