「白色テロ」を知っていますか 邦訳の漫画「台湾の少年」が描く史実

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黒田健朗
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 台湾で言論の自由が制限され、多くの人々が政治犯として投獄された「白色テロ」を描く台湾の漫画を邦訳した「台湾の少年」が、このほど全4巻で完結した。作者たちは、日本ではあまり光が当たらないこの台湾の歴史について知ってほしいと願っている。

 物語は日本統治時代から始まる。主人公は、台湾の児童文学で大きな役割を担った実在の人物、蔡焜霖(さいこんりん)さん(92)。1930年に生まれ、終戦後は役場の職員として働いていたが、ある日突然逮捕された。高校時代に読書会に参加しただけなのに「反乱組織」に加わったと見なされたのだ。

 当時、蔣介石率いる国民党政府は、中国共産党への対抗から多くの人を政治犯として捕らえ、拷問で無理やり「自白」させるなどしていた。「白色テロ」と呼ばれるこの弾圧は、47年から戒厳令が解除される87年ごろまで続いた。

 懲役刑の判決を受けた蔡さんは10年間、孤島の収容所で働かされた。銃殺された仲間もいた。

 物語の中盤から終盤にかけては、刑期を終え解放された蔡さんが過去の呪縛に苦しみながら、児童雑誌の編集者として活躍し、かつての仲間たちの鎮魂に向かう様子を描いていく。

 ストーリーは、児童文学研究…

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