海星の平尾、三塁手の隙をつく猛ダッシュ 本塁生還は練習の証し

三沢敦
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 (20日、第95回記念選抜高校野球大会2回戦 海星5―1社)

 3点リードで迎えた八回の攻撃。海星の平尾幸志郎選手(3年)に迷いはなかった。

 左前打で出塁した後、後続の安打などで三塁へと進んでいた。次打者の打球が三塁側に転がる。捕球した三塁手がゆっくりステップを踏んだ。一塁への送球動作に入った瞬間、「今だっ」と猛ダッシュ。一塁から返球を受けた捕手のタッチをかいくぐって本塁を突き、だめ押しの追加点をもぎとった。

 50メートル6秒1の俊足が武器。「狙っていました。ファーストに投げると確信したタイミングで全力で飛び出した」と、あの場面を振り返る。

 幼い頃から足が速かったわけではない。でも、大好きな野球で負けたくなかった。少しでも速くベースにたどり着きたい。その一念で厳しいダッシュ練習に励み、強い脚力を身につけたという。

 「足」は二回にも生きた。左前打で出塁し、二盗を決めた後、角野夢才志(むさし)選手(3年)が右前打を放った。一気に本塁へと駆け込み、貴重な追加点につなげた。

 16強入りした昨夏の甲子園もスタメン入り。球場の雰囲気にのまれ、失敗を重ねる怖さも味わった。だが、あの経験があったからこそ、この日は「楽な気持ちで、落ち着いてプレーできた」という。

 4割近いチーム打率を誇った昨夏に比べたら、打撃力は劣る。その分、田中朔太郎選手(2年)や山口頼愛(らいあ)選手(3年)ら足の速い選手がそろい、「機動力野球」に磨きをかけてきた。

 次戦の相手は広陵(広島)。昨秋の明治神宮大会で準優勝した強豪だ。

 「格上のチームだが、つけいる隙は必ずあるはず」と平尾選手。小さな隙を見逃さず、足をからめた攻撃で勝機をつかむ。(三沢敦)

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