カッセイカマンがフキョーダと戦い続ける理由 山村に光照らし20年

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安田琢典
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 天竜峡にほど近い、静かな山里が広がる村に20年前、ある使命を帯びたローカルヒーローが産声を上げた。その名も「地域戦隊カッセイカマン」。不景気の波で地域を支配しようともくろむ悪の組織「フキョーダ」と戦い続けてきたヒーローの、ちょっとあか抜けないネーミングには意外な思いが隠されていた。

20年前のデビューの記憶

 2003年7月7日、長野県下條村役場に入庁5年目で観光事業を担当していた斎藤充さん(47)は、カッセイカマンのデビュー当日のことを鮮明に覚えている。

 場所は村内の宴会場。布製マスクをかぶり、手作りの衣装をまとった3体のヒーローが突如、登場した。3体の衣装の色は赤、青、ピンク。派手なアクションはなく、会場は微妙な空気に包まれたが、徐々に拍手がわき起こっていった。

 3体はそれぞれ、村特産の辛味大根をイメージした「ダイコンレッド」、村にあるおおぐて湖の水を表した「オオグテブルー」、村の花、コスモスから「コスモスピンク」と命名された。

 この日、ダイコンレッドを務めていたのは斎藤さん。身長173センチ、体重約100キロのぽっちゃり体形のヒーローだったが「若い人が一生懸命、田舎の村を盛り上げようとしている熱意が拍手につながったのだと思う」と振り返る。

マスクをかぶってパソコンに向かう男性がいた

 誕生のきっかけは、村内の若…

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