再び原発事故は起きないのか 「60年超運転」で真価問われる規制委
原発の60年超運転に向け、原子力規制委員会が所管する原子炉等規制法(炉規法)の改正法案が閣議決定された。2011年3月の東京電力福島第一原発事故を受けて定められた運転期間のルールの転換。再び事故が起きないのか、規制委の真価が問われる。(山野拓郎、佐々木凌)
原則40年、最長60年という原発の運転期間は、原発事故後に安全規制の柱として導入された。炉規法を含む法改正案では、原則40年最長60年の骨格は維持しつつ、規制委の審査などで停止した期間を「運転期間」に含めないことで延ばす。規制委は、停止期間を除かず、運転開始から30年を起点に10年を超えない期間ごとに設備の劣化具合を審査する仕組みになるという。
この制度の転換をめぐり、委員間の認識の違いが浮かび上がった。
運転期間は安全規制か 委員間の認識の違いが浮き彫りに
2月13日夜、炉規法から運転期間の規定を削除する法改正案を了承するかどうかを話し合った臨時の会合で、石渡明委員は「運転期間を法律(炉規法)から落とすことは安全側への改変とは言えない」と述べた。同8日の会合でも石渡委員が反対し、判断が先送りされていた。
石渡委員は地震や津波の審査の担当。運転期間と安全規制を切り離すべきではないという立場を取る。事業者側の対応の遅れなどで審査が長引いた場合でも、その期間は運転期間から除外されることになる。これまでも石渡委員は「原則40年最長60年でこれ以上運転できないとなっていたのに、(改正案の)法文だけ読めば無限に延ばせる」と指摘し、制度の転換を問題視してきた。
結局、山中伸介委員長が「根本が食い違ってしまった」と発言し、多数決をとることを提案。石渡委員が反対し、ほかの4人の委員が賛成する4対1で法改正案を了承した。
根本の食い違いとはいったい何なのか。
山中委員長は「運転期間は安…