第2回契約打ち切り、友人の死… 歌い続けるミュージシャン花男の生き方
バンド「太陽族」でデビューした花男(はなお)(43)は2016年、東京を離れて故郷の北海道に戻った。かつて3千人規模のライブを成功させてきた花男はいま、1人で20~30人の前で歌い続けている。
契約打ち切り、メンバーの脱退、友人の死、バンドの活動休止……。花男は東京時代、挫折と孤独を経験した。
10年前に始めた「ドッコイ生きてる雪の中ツアー」に同行すると、各地で花男の歌を心待ちにしているファンたちは「気持ちを代弁してくれる」「自分が腐りそうになったら、ぶん殴ってくれる」と口々に語った。
ライブ会場で「雑草の花」という曲のサビにさしかかると、花男は声を絞り上げる。
《アスファルトつきやぶれ アスファルトつきやぶれ 花が咲くのは冬を越えた瞬間だ アスファルトつきやぶれ》
「聴く人の心に火をつけたい」と言う花男。歌い続けるのは、「自他への応援歌」だ。
そんな花男を応援する音楽仲間がいる。
元ザ・ブルーハーツの梶原徹也は02年、太陽族のミニアルバム「男の子」をプロデュースした。「太陽族の活動休止後は紆余(うよ)曲折あったのだと思う。いろんな積み重ねで、いまの花男君ができている」
Hump Back(ハンプバック)の林萌々子は、多感な10代に太陽族の歌に出会った。「自分たちの気持ちを理解し、寄り添ってくれる大人がおるんやと思えた」
今では弾き語りで共演する仲でもある。林は「一緒に演奏することで、私も刺激を受けられる」と話す。
(敬称略)(角拓哉)
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