第67回ウクライナ侵攻で進化するAI、最後のボタンは人類の手に残すべき

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牧野愛博
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 人工知能(AI)の軍事利用を巡る国際会議が2月、オランダ・ハーグで開かれました。ウクライナでは膨大な軍事データが集まり、AIの軍事利用が更に進みそうです。かつて在ロシアの防衛駐在官を務め、3月に共著で「ネット世論操作とデジタル影響工作」(原書房)を発表した佐々木孝博元海将補は「日本もできるだけ早く議論を始めるべきだ」と語ります。

 ――AIの進化とはどういう意味でしょうか。

 AIは「一つの仕事を人の指示のもとに行う」という、いわゆる「弱いAI」段階から、「複数の仕事を、自分の判断だけで自律して行う」という「強いAI」の段階へと成長しています。最終的にシンギュラリティー(AIが人類の知能を超えること)が目標だとも言えます。

 軍事分野では様々な任務に適用可能といわれていますが、当初、特に目立っていたのは、AIがサイバー空間の監視に使われたことでした。キーワードやウイルスの特性などを学習し、悪意のあるデータやプログラムを検知することで、サイバー攻撃を防ぐことができます。逆に攻撃側の見地からすると、過去のウイルスに対する防御を打ち破る学習をさせるケースもあります。サイバー空間はデータが膨大なので、AIが必要だったのです。

 ミサイルを例に取れば、将来のAI機能を搭載したミサイルは、どこに攻撃すれば、より効果的に攻撃できるかを自律的に選定し、目標を指示するだけで、自分で地形の障害や敵軍の防御陣地を避け、電子妨害などの反撃を自ら回避しながら、最も効果的なポイントを攻撃できるようになることも想定されます。

ウクライナは、AIが進歩する実験場

 ――「ウクライナはAIが進…

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