「スイス一丸」で異例のクレディ救済 財務は「健全」だったが標的に

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ロンドン=和気真也 稲垣千駿 友田雄大
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 米国の中堅銀行の相次ぐ破綻(はたん)をきっかけに広がった金融不安が、一気にスイスの2大銀行の統合に発展した。信用不安の連鎖は続くのか。市場の警戒感が急速に高まるなか、各国当局は金融危機を再び起こさせまいと、連携して沈静化を急いでいる。

 クレディの救済は異例ずくめだった。

 クレディとUBSというスイスの2大銀行が統合を発表した19日の会見には、両行の会長に加え、スイスのベルセ大統領、財務省、スイス国立銀行(中央銀行)、金融監督当局のトップが並んだ。「スイス一丸」の救済計画だったことをにじませた会見の様子は、スイスの首都ベルンからオンラインで世界に配信された。

 ケラーズッター財務相は「クレディが破綻(はたん)すれば、国際市場を巻き込む被害を与えかねないと思っていた」と危機的な状況だったと明かした。ベルセ大統領は「(17日の)金曜日にもはや信頼回復は不可能で、迅速な安定のための解決策が必要だとわかった。それがUBSによるクレディ・スイスの買収だ」と、週末の2日間で合意にこぎ着けたクレディの救済策に理解を求めた。

急速に広がった金融不安が、飛び火した格好に

 金融業で知られるスイスの2大銀行の統合という歴史的な出来事の発端は、米国の利上げだ。

 コロナ下の経済を下支えする…

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