【そもそも解説】IPCC報告書ってどんなもの?温暖化どうなるの?

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市野塊
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 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が20日、地球温暖化に関する新たな報告書をまとめました。1・5度の気温上昇に抑えることを掲げる「パリ協定」の実現には、2030年までに温室効果ガスを半減させなければならず、猶予がないことを強調しています。実現までの道のりの厳しさや、日本の対策などと合わせて紹介します。

 Q IPCCが公表した第6次の統合報告書はどんな内容なの?

 A 気温上昇を産業革命前より1・5度に抑えるには、30年までに温室効果ガスの排出量を半減させる必要があると強調した。さらに、35年に60%、40年に69%の削減が必要(いずれも19年比)とも示している。

 報告書を受け、国連のグテーレス事務総長は「先進国は40年、新興国は50年に温室効果ガスの排出の実質ゼロを達成することを約束しなければならない」と述べた。

 報告書は、時間がないことを指摘した上で、低炭素に向けた投資の加速や、ライフスタイルの改善など、行動すべき内容も呼びかけている。

 Q 地球温暖化をめぐる状況は厳しいの?

 A 18~19世紀にイギリスから始まった産業革命で、石炭など化石燃料の消費が増えた。その結果、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが大気中にどんどん排出されたせいで、地球の平均気温が上がった。大雨や干ばつ海面上昇など気候にも影響を与えている。15年の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定では、温暖化による被害を抑えるために産業革命前からの気温上昇を「2度よりかなり低く、できれば1・5度に抑える」ことを目指すと合意した。その後、1・5度に抑えることが国際目標になった。しかし、IPCCによると、すでに世界の平均気温は1・1度上昇している。このままでは今後20年の間に一時的にでも1・5度を超える可能性があるという。

重要な指標「カーボンバジェット」

 Q なぜそれが分かるの?

 A 地球の気温は大気中に排…

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