突然の好機で狙った初球 スランプ経た能代松陽4番の「強い気持ち」

北上田剛
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 (21日、第95回記念選抜高校野球大会2回戦 能代松陽3―0石橋)

 一回裏、1死一、三塁。能代松陽(秋田)の4番打者・斎藤舜介選手(3年)にいきなりチャンスが回ってきた。

 「みんながつないでくれた。強い気持ちで初球から振ろう」。その初球、真ん中に入ってきた変化球をすくい上げると、左犠飛で貴重な先制点を奪った。「最低でも外野フライと思っていたから、4番の仕事を果たせてホッとした」

 2―8で敗れた昨夏の甲子園も2年生ながら4番に座り、2点適時打を放った。だが、その自信は新チームになって空回りする。

 「自分が引っ張らないといけないという意識が強すぎた」と、スランプに陥った。「打たないと、打たないと」と思うほど、安打が出ない。打席では次第に、積極性を失っていった。

 もともと、悪い方に考えるタイプだという。切り替えるため、好きな音楽を聴いて野球のことを考えないようにした。「それでも気づいたら野球のことばかり考えちゃって。常に野球は自分から離れないから」

 森岡大智投手や大高有生主将……。昨夏、ともに甲子園を戦った同級生は新チームでも結果を残していた。「何で俺だけ結果が出ない? 自分だけ置いていかれたようだった」と焦ったが、「できることは、とにかく振り込むことだけ」と決めた。雪で実戦形式ができない冬場は、黙々とティーバッティングを繰り返した。

 この日、八回の打席は好機に三振。声を上げて悔しがった。「強い学校の4番打者なら、絶対に打っていた。力が足りないと実感した」。次は強豪の大阪桐蔭戦だ。「日本一の学校と対戦できる。レベルの高い投手をしっかりと打って、自分の責任を果たしたい」(北上田剛)

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