SDGsを進める世界共通のエンジン インパクト投資が開く可能性

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編集委員・北郷美由紀
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2030 SDGsで変える

 人や地球にプラスになる変化や成果を「社会的インパクト」と捉え、事業展開や投資を実行する際に重視する動きが広がっています。資金不足や取り組みのまずさから停滞するSDGs(持続可能な開発目標)を前に進めるエンジンとして、注目されています。(編集委員・北郷美由紀)

岩手・北上市が進める公立保育園のデジタル化

 岩手県北上市の市立二子保育園。周囲の田んぼに飛来する白鳥が冬の名物になっている同園で、昨夏からデジタル化が進む。

 登園・降園時間や欠席連絡はスマートフォンのアプリで管理し、情報共有しやすくなった。以前は連絡帳やホワイトボードで伝えていた園児たちの様子を、写真も添えながらアプリ内で報告。保護者からも好評だ。大事なお知らせは確認ボタンをつけて掲載し、見落としている人がいれば声をかけることができる。

 新しいことにようやく慣れてきた保育士たちは、デジタル化で生まれた時間と気持ちの余裕を、クラス運営の工夫や保護者に寄り添うことに向けたいと話す。藤原智恵子園長は「減らせる負担は減らし、私生活も大事にしながら長く働ける環境を作っていきたい。先生たちが笑顔だと、子どもたちも喜びます」と語る。

 北上市は、2022年度から市内6カ所のすべての公立保育園とこども療育センターに民間の保育園システムを導入した。主導したのはDX推進リーダーとして民間から採用された大塚知彦さん。「子育て関連の施策を起点に、デジタル化で市の業務変革と市民サービスの向上をはかる」という。新年度にはクラスごとに大型タブレットを配り、使い道を広げてもらう。

月100時間の業務削減を実現した「社会的インパクト」

 同市が契約するのは、ベンチャー企業のユニファ(東京都千代田区、土岐泰之社長)が提供する「ルクミー」というサービスの一部だ。園児の写真の代行販売から始め、保育業務を軽減するデジタル技術とサービスを開発してきた。非接触型の検温記録やセンサーによる午睡の見守り、シフト管理なども展開する。

 「家族の幸せを生み出すあた…

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