中国の習近平(シーチンピン)国家主席が訪問先のロシアでプーチン大統領と会談し、両者はウクライナ問題について交渉を重視する点で一致した。ただし、ウクライナを説得できるような現実的な解決策は持ち合わせておらず、解決への糸口は見えない。米国の覇権へ対抗する立場の中ロは、多くの分野で関係を強め、国際秩序の転換をも目指す構えだ。(冨名腰隆、西山明宏=北京、下司佳代子=ワシントン、喜田尚)
「ウクライナとの対話」に込めた中ロの意図
「国家主席の再選を直接お祝いできてうれしい。あなたの功績に対する中国の正当な評価だ」
20日午後、クレムリンでの非公式会談。プーチン氏が3期目に入った習氏をたたえると、習氏も「来年の大統領選挙は承知している。ロシアの人々があなたを強力に支持すると確信している」と応じた。
習氏が国家主席に就いた2013年以降、2人は約40回の会談を重ね「蜜月時代」を築いてきた。ロシアメディアによると、夕食会を含むこの日の会談は4時間半に及び、プーチン氏は帰路につく習氏を建物外まで見送る厚遇ぶりだった。
このタイミングで中ロ首脳が顔をあわせれば、国際社会の関心は当然、ロシアによるウクライナ侵攻に向かう。2人はそれを見越したかのように振る舞った。
習氏は「大多数の国は緊張緩和を支持している」とし、「衝突は最終的に対話と交渉を通じて解決する必要がある。中国は建設的な役割を果たす」と訴えた。
対するプーチン氏も「あなたが公正の原則と国際法の順守、すべての国に不可分の安全保障を尊重していると理解している」と述べ、和平への中国の関与に期待を示した。
平和的解決を呼びかけた習氏に、プーチン氏が前向きな姿勢を示した、と取れる発言。だが、そこには双方の思惑が見え隠れする。
中国は「戦争は望まない」(…

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