JICA理事長が語るSDGsと人間の安全保障
聞き手・北郷美由紀
2030 SDGsで変える
地球規模の課題を解決するために日本が果たす役割とは。国際協力機構(JICA)の田中明彦理事長に聞きました。
――2回目の理事長職でSDGsにどう向き合っていますか。
気候変動にパンデミックや戦争が重なり、世界は100年に一度あるかないかの複合的な危機の中にあります。国際社会全体ではSDGsという目標が共有されているにもかかわらず、その実現は著しく困難な状況です。危機を乗り切るためにも、SDGsを少しでも前に進めることが重要で、JICAの果たす役割は大きいと考えています。職員には、世界と日本をつないでいくことが一番の使命だと伝えています。
――政府の途上国援助(ODA)を実施する機関としてはどうでしょうか。
SDGsが書き込まれている国連の「2030アジェンダ」の柱立てに合わせる形で事業戦略を立てています。「豊かさ」「人々」「平和」「地球」の四つの切り口のもと、事業を20項目に整理して取り組んでいます。
慈善ではなく同じ目線で開発援助
――ODAについては今年、おおもとの開発協力大綱が改定されます。外交上の効果や戦略的な活用が強調されることに、NGOからは懸念の声もありますが。
今回の改定は、国際情勢の変…