大リーグ最高の打者vs世界の「二刀流」 トラウトに勝った大谷翔平
(WBC決勝、日本3-2アメリカ)
最後の主役は、日本野球が世界に誇る「二刀流」だった。
3―1の八回に登板したダルビッシュ有(パドレス)がソロ本塁打を打たれた。
日本のリードはわずか1点。
そして九回。3番・指名打者として先発出場していた大谷翔平(エンゼルス)が、世界一を決める緊迫のマウンドに上がった。
先頭打者に四球を許したが、次打者をセカンドゴロで併殺に仕留める。
2死走者なしで打席へ迎えたのは、大谷のチームメートで、シーズンMVPに3度輝いたことのあるトラウト(エンゼルス)だった。
大リーグ最高の打者と、大リーグを席巻する二刀流との夢の対決が、決勝の舞台で実現した。
160キロ超の直球を4連投して、フルカウント。最後は、外角のスライダーで空振り三振に切って取った。
グローブと帽子を投げ捨てて喜びを爆発させる大谷の元へ、ベンチからチームメートがかけよった。
世界一への物語 侍ジャパンの素顔
白球を追いかけ、大人になった。喜びばかりじゃない。悔しい経験もした。くじけそうになったこともある。すべては、あのとき描いた夢へと続く道のりだった。世界一奪還を誓う者たちの〝ストーリー〟を紹介する。
大谷が締めで登板するシチュエーションを、多彩な投手陣が後押しした。
まずは、今大会初先発の左腕エース今永昇太(DeNA)。初回は無失点。二回にソロ本塁打を浴びると、三回からは昨季セ・リーグ最多奪三振の戸郷翔征(巨人)に代わった。
戸郷が四回までを抑えると、五回からは毎回異なる投手がマウンドへ。リードを保ったまま大谷につないでみせた。
打っては、準決勝でサヨナラ打の村上宗隆(ヤクルト)が二回に同点ソロ。四回には岡本和真(巨人)も一発を放ち、踏ん張る投手陣を支えた。
試合後、大谷は言った。
「最高の形で終わることができた。全員が自分たちの仕事をして、昨日もそうですけど、粘り強く、最後の最後まであきらめずに、監督を優勝させることができてよかったと思います」
総力戦でつかんだ、14年ぶりの世界一だった。
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- 【視点】
ほんとうにわくわくする試合だった。素晴らしかったのは、試合やその結果だけではない。 試合後のインタビューで、聞き手が「これで日本の野球が…」と問いかけたのに対する大谷選手の答えが最高だった。 「日本だけじゃなくて、韓国も、台湾も、中

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