局幹部聴取、「懲らしめる」発言… 放送法解釈以外にも相次いだ緊張
放送法の「政治的公平」をめぐる総務省と官邸側のやりとりが記された行政文書をきっかけに、政治と放送との距離が改めて問われている。文書に記録されている2014、15年から翌16年にかけては、政権や自民党側が「政治的公平」を含む放送法4条を理由に放送局へ働きかけを強めるなど、政治と放送の間で緊張が走ることが相次いだ。識者は、当時の安倍政権が放送局をコントロールしようとしていた時期だと指摘する。(文中の肩書はいずれも当時)
「コメンテーター全員が同じ主張の番組(TBSサンデーモーニング)は偏っているのではないかという問題意識を補佐官はお持ちで、『政治的公平』の解釈や運用、違反事例を説明してほしい」――。今回総務省が公表した文書は、2014年11月26日に礒崎陽輔首相補佐官から総務省放送政策課にかかってきた電話の記録から始まっている。
この8日前の18日、安倍晋三首相は衆議院の解散を表明。その夜、出演したTBSの「NEWS23」で、街頭インタビューで紹介されたアベノミクスへの意見の賛否のバランスに「声反映されていませんが。おかしいじゃないですか」と不満を漏らした。
2日後、自民党は萩生田光一筆頭副幹事長と福井照報道局長の連名で、NHKや在京民放5局へ、衆院選報道の「公正中立、公平の確保」を求める文書を送った。さらに同26日にはテレビ朝日の「報道ステーション」に対し、公平中立な報道を求める報道局長名の文書を出した。「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」と定めた放送法4条1項4号を挙げ「番組の編集及びスタジオの解説は十分な意を尽くしているとは言えない」と、個別の番組内容に注文を付ける内容だった。
自民調査会長「法律に基づいてやらせていただく」
翌15年には二つの問題でテレビ朝日とNHKの幹部が自民党から事情聴取を受ける事態が起こる。
15年3月、報道ステーショ…

放送法めぐる総務省文書問題
放送法の政治的公平性をめぐる首相官邸側と総務省側の安倍政権下のやりとりを記した内部資料。総務省が公開するまでの経緯や問題点をまとめた特集ページはこちら。[もっと見る]