20年後も男役、元宝塚の椿火呂花「全く違うもの演じられる楽しさ」

有料記事宝塚歌劇団

尾崎千裕
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 男役をすることはもう二度とないんだろうな――。宝塚歌劇団の宙(そら)組で活躍した椿火呂花(つばき・ひろか)は、20年前に退団した時、そう思っていた。が、めぐりめぐって今も、さっそうとした姿で、宝塚のOGでつくる公演で主演している。

 大阪・りんくうタウンにあるライブハウス。1、2月にはOG4人が出演し、身分違いをテーマにしたミュージカルとショーの2本立てを上演した。椿は黒燕尾(えんび)服から着物まで自在に着こなし、品のあるたたずまいで観客を魅了した。

 「自分とは全く違うものを演じられる楽しさが男役にはある。自分で新たに作り出していけるのが面白い」

5歳ごろから毎月観劇

 1995年入団の81期生。宝塚ファンだった母に連れられ、5歳ごろから毎月のように東京宝塚劇場へ通っていた。観劇は生活の一部のようで、タカラジェンヌは特別な職業だというより「大人になったら入れる場所」という意識だったほどだ。

 中学生になって、初めて「受験」という言葉を意識した。宝塚音楽学校の要項をみると、声楽やバレエなどの項目がずらり。「これは大変だ」。あこがれの場所に向け、受験スクールに入学。ラストチャンスの高校3年の時、合格した。

 同じスクールからは、大和悠河、舞風りら、ふづき美世らが合格した。

「震災の期」 喜びかみしめた初舞台

 この期は「震災の期」といわれる。阪神・淡路大震災のあった1995年に、宝塚大劇場再開の星組公演で初舞台を踏んだからだ。

 「無理かもしれない」と一度…

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