下町の“激安王”が挑む「バカみたいな値段」 物価高でも盛況なワケ
小林一茂
正午。太鼓の音が鳴り響くと、店頭のプラスチックのビールケースに男性が上った。帽子をかぶり、ジャンパー姿。目の前の段ボールから缶詰を手にとって高く掲げた。
「言い値」がいいね! 東京都足立区「ゑびすや商店」で毎月1日に開かれる「バカ値市」=小林一茂撮影
「3個で200円、200円、200円!」。男性の威勢のいい声が響くと、周囲に集まった客の中から「くださーい!」と手があがった。
東京・足立のディスカウントストア「ゑびすや商店」で毎月1日に開かれる名物イベント「バカ値市」だ。昨年から続く物価高の影響もあり、2月に取材した際も売り買いの熱気が満ちていた。
ビールケースに乗っていた男性は唐鎌秀貢さん(85)。創業者で最高顧問の肩書だが、いまも第一線に立つ。「いいものを安く買ったときのお客さんの笑顔が一番。最高ですよ」と笑う。
客の「言い値」で売る毎月1日のイベントで人気の店が、東京の下町にあります。信条は「お客さんの笑顔が一番」。値上げラッシュの物価高の中、買い物の喜びをきょうも街に届けています。
唐鎌さんは1965(昭和40)年に個人商店の卸問屋として商いを始め、後に会社組織に。小売りにも乗りだし、68円均一のコーナーを発案した。一時は千葉にも進出した。今は東京、埼玉で7店舗を展開する。テレビなどで紹介され「激安王」として知られている。
バカ値市の基本は客の言い値…