熊本県の自宅で死産した双子の遺体を段ボール箱に入れるなどして遺棄したとして、死体遺棄罪に問われたベトナム国籍の元技能実習生、レー・ティ・トゥイ・リン被告(24)の上告審で、最高裁第二小法廷(草野耕一裁判長)は24日、リンさんを有罪とした一、二審判決を破棄し、無罪とする判決を言い渡した。リンさんの逆転無罪が確定する。
死産した子の遺体の扱いが遺棄罪にあたるかについて最高裁が判断を示すのは初めて。
昨年1月の二審・福岡高裁判決によると、リンさんは技能実習生として熊本県内の農園で働いていた2020年11月、自宅で双子の男児を死産した。遺体はタオルに包んで部屋にあった段ボール箱に入れ、双子につけた名前やおわびの言葉を書いた手紙も入れた。箱はさらに別の段ボール箱に入れて封をし、自室の棚に置いた。翌日には死産を医師に明かした。
争点は「社会の敬虔感情」を害したか
死体遺棄罪は、死者を悼む思いなど、「社会の敬虔(けいけん)感情や国民の宗教感情」を害する行為を罰するとされる。弁護側は「遺体を安置したに過ぎず、宗教感情を害する行為ではなかった」と無罪を主張。裁判では、リンさんの行為が遺棄罪にあたると言えるかが争われた。
21年の一審・熊本地裁は…
- 【視点】
この件について、裁判が始まる前に熊本で様々な関係者の方からお話を聞き、これで有罪になってしまうということが本当にあり得るのか、あっていいのかと強い疑問を感じました。そこで「彼女がしたことは犯罪なのか」という記事を2年前に書きました。死産前後