市の封筒で県議の後援会の入会案内を郵送 「送ってはいけなかった」

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 宇都宮市に郵便料金を負担してもらって会報などを会員に送っている同市内の福祉団体が今月、特定の栃木県議のパンフレットや後援会の入会案内を同封して郵送していたことが分かった。郵送には市の封筒が使われており、市は「誤解を招く」として郵送先に説明するとともに、希望者からの回収も始めた。

 市保健所などによると、市はこの福祉団体に家族の障害についての相談事業を委託。福祉団体は会報などの資料郵送について料金後納の市の封筒を利用、郵便料金は市が負担し、封筒には市保健所のスタンプが押されている。

 今月中旬に郵送した際、会報などの資料以外に、同市・上三川町選挙区選出の県議のパンフレットや後援会の入会案内も同封した。主に同市内在住の会員ら約40人あてだった。

 受け取った人から指摘を受けた市保健所は、パンフレットや後援会の入会案内が同封されたことを郵送先に連絡した。希望者からは回収したが、大部分の人が自分で廃棄すると話したという。福祉団体から市保健所には「間違って入れた」と説明があり、次回から市は郵便料金を負担しないことにした。市保健所は「送ってはいけないものだった」としている。

 福祉団体の責任者によると、県議と面識はあるものの組織として支援したことはなく、日常的な交流もなかった。パンフレットや入会案内が大量に送られてきたため、当初は会員らに手渡すなどしていたという。

 「『よかったらどうぞ』と渡していたが、あまりにもたくさんあり、捨てられず残った分を会員に郵送した。特定の人を支援するつもりはなく、県議から直接応援を依頼されたことはない」と責任者。市の封筒利用が誤解を招くとの指摘については「確かにそうなる。その意識が足りなかった」と話している。

 この県議は福祉団体が所属する県全体の福祉組織と交流があるといい、朝日新聞の取材に「後援会活動を広めてもらいたいと資料を送った」と説明。市が料金負担する市の封筒で福祉団体が郵送したことは事前には知らなかったという。「不適切で、さまざまな誤解を招くことになる。複数の目での確認が必要だと思う」と話している。

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