2023年秋冬東京コレクション(楽天ファッションウィーク東京)が13日から6日間、都内で開かれた。参加した58ブランドのうち、7割にあたる42ブランドが観客を入れたショーやプレゼンテーション形式で発表。マスク着用が「個人の判断」にゆだねられた最初の週に重なり、ウィズコロナ時代の新たなにぎわいをマスクを外して楽しむ観客が多かった。
欧米に続き、リアルで見せる動きが復活した。コロナ禍の閉塞(へいそく)感から脱却する力強さを感じさせるなか、デザイナーの美学や価値観を等身大で表現しようとするブランドが目立った。
「今こそ正直さを大事にしたい」。そう話したのはヨウヘイオオノのデザイナー大野陽平だ。大がかりなショーを開いた前回から一転、今季は自身の生活観や人生観を軸にした制作を試みた。曲線が際立つドレスのほか、Tシャツをモチーフにしたバッグなど古着を題材にした新作は「美しさはありながら、洗練されていない人間くささを表したかった」。会場に並べたのは、自らが集めてきた「素朴でチープないとおしいもの」の数々。これまで蓄積した立体的な造形のアイデアを採り入れながら、ユーモアにあふれる、パーソナルな「らしさ」を感じさせた。
ピリングス(村上亮太)は人…
- 【視点】
筆者の一人です。今回の東京コレクションで強く感じたのは、東京ファッションのレベルの高さでした。レイヤード(重ね着)の表現に秀でたブランドは以前から東京に多数ありましたが、今シーズンはプロダクトとして完成度の高い服が多かった印象です。 一般