2月、米本土上空に中国の気球が飛来した問題は、米国内であらためて大きな反発を巻き起こしました。米下院では中国との競争に関する特別委員会も始まり、対中脅威論の勢いはやむ気配がありません。米ホワイトハウスで対中外交に携わったブルッキングス研究所のライアン・ハス上級研究員は、「米国はもっと自信を持つべきだ」と言います。詳しく聞きました。
Ryan Hass 米ブルッキングス研究所の上級研究員。オバマ政権下の2013~17年、米国家安全保障会議(NSC)で中国・台湾・モンゴル担当部長を務めたほか、北京やソウルの米国大使館などでも勤務した。
――2月に中国の監視用とみられる気球が飛来し、米軍が撃墜しました。実際に、気球は米国にとっての脅威だったのでしょうか。
中国は機密情報を集め、米国内で何が起きているのかを知ることに非常に熱心です。ただ、「スパイ気球」によって、中国が衛星や他の手段で得られるよりも深い情報を得られたとは思いません。米国の軍事基地には、機密情報を保護する方法があります。
むしろ、主な影響は心理的な…