校則やぶった髪形、教師が切るのは人権侵害 私立男子高に是正勧告
校則どおりの髪形でない生徒の髪を、教師が切るのは人権侵害――。私立高校(大阪市)の髪形に関する校則を巡り「運用に人権上の問題がある」として、大阪弁護士会は23日、高校に運用の見直しを勧告したと発表した。勧告は20日付。
勧告を受けたのは私立の男子高で、髪形の校則に①前髪を前にたらした時に眉毛にかからない程度の長さに切る②襟足と耳元の髪を指でつまめない程度の長さに刈り上げる――と定めている。複数の生徒が昨年4月、「髪形の厳しい規制によって人権が侵害されている」として、弁護士会に人権救済を申し立てた。
弁護士会は生徒や保護者への聞き取りなどを実施。髪形の校則自体は「不当な侵害とまでは言えない」としたものの、校則に基づいて教師が行う「頭髪検査」について、一部に人権侵害があると判断した。
勧告によると、検査は毎月行われるが、①教師が前髪を引っ張り、眉毛にかかったら不合格とするケースがあり、校則の趣旨から外れた運用があった②教師が不合格の生徒の髪を切ったり、ハサミを渡して生徒に切るよう指示したりした③教師によって判定にばらつきがあり、生徒ごとに対応を変える教師がいた――の3点を問題視した。
弁護士会によると、同校は調査に対し、こうした運用が実際にあったと認め、「改めて判定基準や運用方法の周知徹底を図り、事案の防止に努める。検査の際に生徒の身体に触れないよう徹底した」と回答したという。
校則自体については、私学の髪形の校則を巡る最高裁判例で「私学は独自の伝統や教育方針で教育活動を行い、生徒はそのような教育を受けることを希望して入学する」との判示があることを踏まえ、人権侵害にはあたらないとした。
一方、この高校には携帯電話の持ち込みを禁じる校則があり、違反した場合、生徒や保護者に解約を求めることについても「生徒の権利を不当に侵害している」としてやめるよう勧告した。(松浦祥子)
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- 【視点】
頭髪検査の結果、教師が不合格の生徒の髪を切ることは、校則(の罰則)が強制的に、しかもそれが身体への介入として執行されていることを意味しています。その点が人権侵害とみなされたものと推察します。 私立校ですから、当該校のシンボルとして特定の髪
- 【視点】
「教師が生徒の髪を直接切る」というペナルティのあり方は許容されるべきではないと思います。「検査の際に生徒の身体に触れないよう徹底した」という学校側の回答が紹介されていますが、「髪を切る」というのは「触れる」どころの介入度合いではありません。