南極で最後の夏、ヘリで広がる白い世界に「地球を体感」

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中山由美
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 28人の小さな社会で、静かにゆったりと月日が過ぎた越冬生活。そこへ新しい隊が到着し、にぎやかさと忙しさで、時の流れも速まったように感じる。

 観測船しらせが搭載するヘリコプターの登場で、行動範囲は格段に広がる。今まで雪上車で何日もかかった所や、たどり着けなかった所へもひとっ飛びだ。大気や測地、地圏など様々な野外観測に同行させてもらえるのは記者冥利(みょうり)に尽きる。

 2020年12月22日、大陸沿岸のラングホブデへ向かった。観測隊が長年通う観測地の一つで、無人の観測機器が置かれ、年1~2回訪れてはデータをとっている。今回は通年で測る温度のデータの回収だ。手の中に隠れるほど小さな温度計は、雪をかぶらないよう岩陰に仕込んである。地図と写真を手に宝探しみたいだ。作業を終えれば、迎えのヘリまで時間はある。道も目印もない岩場を気ままに歩く。海岸にはアデリーペンギンの営巣地・ルッカリーが広がり、生まれたばかりのヒナたちが親鳥のおなかの下からピーピー、エサをねだっていた。

 めったに行かない場所へ飛ぶ…

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