知床事故の「条件付き運航」に違和感 運航会社の元従業員が証言

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 北海道・知床半島沖で、観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故から23日で11カ月。事故をめぐっては、船を運航していた「知床遊覧船」の桂田精一社長は「天候が荒れたら船長判断で引き返す『条件付き運航』を指示していた」と説明している。この「条件付き運航」について、同社の元従業員が朝日新聞の取材に対し、新たな証言をした。

 桂田社長は事故4日後の昨年4月27日に開いた記者会見で、事故当日の午前8時、カズワンの豊田徳幸船長(故人)と打ち合わせて条件付き運航を決めたと説明していた。

 この説明について、違和感を覚えたというのが、同社の従業員として事故当日に乗客の受け付けをしていた50代の男性だ。

 男性は取材に対し、条件付き運航が決まった場合、豊田船長から指示を受けて、受け付け段階で乗客に説明するのが自らの役割だったと説明。その上で、事故当日は豊田船長から指示はなかったと証言した。

 また、男性は前のシーズン、条件付き運航の指示が出ると、事務所の入り口前に「条件付き運航」との貼り紙を出していたが、この貼り紙も事故当日は出さなかったという。

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