FRB議長、破綻した銀行は「外れ値」と強調 管理のずさんさを批判

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ワシントン=榊原謙
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 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は22日の記者会見で、米中堅銀行2行の経営破綻(はたん)は、両行固有の問題が大きく、金融システムの問題ではないと繰り返し強調した。一方、金融当局として破綻を防げなかったことも確かで、パウエル氏はFRBの銀行規制・監督のあり方を見直す考えを改めて示した。

 「outlier(アウトライアー)」

 米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、パウエル氏は10日に破綻したシリコンバレーバンク(SVB)のことをこう表現した。統計学の用語で、多くの測定値が示す一定の傾向から極端に外れた値(外れ値)のことを指す。銀行規制の世界では、保有資産などのリスクが高い銀行をアウトライアー銀行と呼ぶこともある。

 パウエル氏は、預金保険制度に守られない預金が同行では約9割に達することや、利上げ局面での資産や負債の管理のずさんさを指摘し、通常の銀行と比較すれば「外れ値」だと説明。「SVBの経営陣は大失敗をした」と厳しく批判した。

 確かに、SVBや12日に連鎖破綻したシグネチャーバンクはいずれも特定の業界との取引に偏っており、預金の流出や、利上げによる債券の損失を抱えやすい状況にあった。

 会見でパウエル氏は、「これらの弱点は、銀行システム全体に存在する弱点ではない」とも指摘。「銀行システムは健全で、弾力的だ」「全ての預金者の貯蓄は安全だ」と繰り返し述べた。パウエル氏が主導した利上げの影響も大きかったが、「多くの銀行は対応している」として、あくまでも2行特有の問題だったとの見方を強調した。

 一方、FRBは銀行規制と監…

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