強制不妊訴訟、大阪高裁も国の責任を認定 計5千万円の賠償命じる
旧優生保護法の下で不妊手術を強いられたとして、兵庫県内の夫妻ら計5人が国に計1億6500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が23日、大阪高裁であった。中垣内健治裁判長は、旧法を違憲と判断した上で、請求を棄却した一審・神戸地裁判決を変更。国に対し、計4950万円の支払いを命じた。
原告弁護団によると、同種訴訟は全国11の地裁・支部で起こされた。地裁判決は判断が分かれているが、これまでに出た3件の高裁判決は、いずれも国に賠償を命じていた。
原告は聴覚障害者の夫妻2組と、脳性小児まひの60代女性。うち3人が1960~68年ごろ、不妊手術を受けた。
2021年8月の一審判決は、旧法を「子を産み育てるか否かの意思決定の機会を奪った」とし、幸福追求権などを保障した憲法に違反すると判断した。一方で、手術から提訴まで20年の除斥期間が過ぎ、損害賠償の請求権は失われたとして、賠償請求を退けた。
だが、「旧法による人権侵害は強度で、除斥期間の適用をそのまま認めることは著しく正義・公平の理念に反する」といった理由で22年2~3月、大阪高裁と東京高裁で除斥期間の適用を制限するなどして救済の道を開く判断が続いた。
こうした高裁の判断を踏まえ、今回の原告らは控訴審で、除斥期間の適用を制限し、賠償請求を認めるべきだと主張していた。(森下裕介)
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- 【視点】
「旧法による人権侵害は強度で、除斥期間の適用をそのまま認めることは著しく正義・公平の理念に反する」 その通り。極めて妥当な判決。