米国のインフレがおさまらないわけ 「人材手放したくない」経営者
ニューヨーク=真海喬生
米連邦準備制度理事会(FRB)が22日、0.25%幅の利上げを決めた。米銀の連続破綻(はたん)を受け、市場には利上げを止めるべきだ、という意見も一部あったが、激しい物価高(インフレ)の抑制のために利上げを続ける道を選んだ。米国でインフレが収まらない背景に、失業率の低さなど雇用環境が非常に良いことがある。なぜ利上げを繰り返しても、雇用環境は良好なままなのか――。
FRBが利上げを繰り返した結果、住宅など高金利の影響を受けやすい業界の景気は落ち込んでいる。米連邦住宅貸付抵当公社によると、30年固定の住宅ローン金利の平均は年6.60%。昨秋に7%を超えたピークからは下がったが、1年前の4.16%と比べると急騰している。住宅は銀行からお金を借りて購入する場合が多いため、金利が上がれば業界の景気は落ち込みやすい。米国の1月の住宅着工件数は約2年半ぶりの低水準だった。市場の金利が下がった影響で2月はやや回復したが、前年より2割近く低い。住宅業界の仕事が減れば、企業は従業員を解雇したり、賃金上昇を抑えたりする。そうすれば、消費も収まりインフレ率も鈍化する。FRBはこうした動きをさまざまな業界で引き起こし、インフレ率を鈍化させることをねらっている。
だが、FRBのねらい通りに…