父が認知症に、空き家の管理に疲れ果て 「売りたいけど…」対策は?
空き家の所有者が高齢になって意思確認ができない状態になり、空き家の活用や売却などが難しくなるケースが出てきています。民間の試算では、認知症の人が所有する住宅は全国で約220万戸。今後、さらに増えることが見込まれています。
どんな風に対応すればいいのでしょうか。
築60年の実家が空き家に
千葉県内の会社員女性(58)の両親は2021年7月、高齢者施設に入所し、住んでいた家が空き家になった。東京都大田区の下町の住宅街にあり、築60年を超える。
当初は両親が生きているうちは、残しておくつもりだった。
だが、管理が大変だった。空き家になって約1年間、月に1度は電車で2時間弱かけ、掃除や換気のために通った。仕事が休みの週末をその時間にあてた。電気やガス代、固定資産税や火災保険料は父親の銀行口座から引き落とされていた。
女性は「この先を考えると自分の身体が持たない」と感じた。
そのままにしておけば、家屋の状態が悪化し、売ることも難しくなる。売却を考え始めた。
ただ、一つ懸念があった。所有者である父親の認知症が進んでいたことだ。要介護2だった。
記事の後半では課題の背景や、親の認知症の備えに関して、空き家の処分に向けたポイントなどを紹介します。
■NPOに相談すると……
- 【視点】
成年後見は、認知症となった親の預金をおろそうとする際にも、金融機関から利用を勧められる制度です。国がルールを定めているだけに、安心感や安定感が比較的あります。後見人ら支えてくれる人に月数万円の報酬を払うのが一般的で、制度を使う「維持費」が