沖縄尚学エースの父が吹いたトランペット 音楽を選ばなかった息子へ
板倉大地
第95回記念選抜高校野球大会は28日、2回戦を突破した沖縄尚学が、第2試合で東海大菅生(東京)との試合に臨んだ。
沖縄尚学の大応援団がいるアルプス席から鳴り響く、トランペットの音色は、鳥羽一郎さんのヒット曲「兄弟船」だ。
アルプスから演奏 息子は「なるべく隠れて吹いて」
高校生らにまじって演奏するのは、東恩納(ひがしおんな)直樹さん(56)。4人きょうだいの末っ子、息子のエース蒼(あおい)さん(3年)の活躍を「音」で支える。
自宅ではめったに野球の話はしない蒼さんに、甲子園ではアルプスで演奏すると伝えると、照れながら「なるべく隠れて吹いてほしい」と、ぶっきらぼうな返事があった。
だから、「隠れて大きな音で吹いています」。
直樹さんは沖縄県で子どもたちに音楽を教える、現役の小学校教諭だ。3人の息子と娘には吹奏楽をやらせようと、小さい頃からトランペットやドラムに触れさせてきた。でも、蒼さんの4歳上の長男がいち早く、地元の小学生向け野球クラブに入ってしまった。
息子のために吹奏楽クラブを創設
せめて蒼さんたちには吹奏楽…