学術会議の独立、なぜ必要か 大西隆・元会長が語る「科学の生命線」

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聞き手・富田洸平
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 政府が示した日本学術会議の組織改革案に対し、学術会議やノーベル賞受賞者らから「独立性を損ねるおそれがある」などと再考を求める声が出ている。国を代表する学術機関でありながらも「政府から独立したアカデミー」は、なぜ必要なのか。改革案の何が問題なのか。日本学術会議の会長を務めた大西隆・東京大学名誉教授に聞いた。

おおにし・たかし 1948年生まれ。愛媛県出身。東京大学名誉教授(都市計画)、前豊橋技術科学大学学長。2011~17年に日本学術会議会長。近著に「日本学術会議」。

国際的な評価、低下の恐れ

 ――国を代表する学術機関である科学アカデミーは、各国にあります。日本学術会議には、どのような特徴がありますか。

 「先進工業国の科学アカデミーは、政府とは切り離された組織であることが多いのです。一方、日本学術会議は政府機関で、旧社会主義国に多い設置形態です。そのため、ただでさえ国際的には『日本のアカデミーは独立しているのか、政府の言いなりではないか』と見られがちです」

 「私が会長だった時、他国のアカデミーとの国際会議で、実際に指摘を受けたこともあります。そんな時は、日本学術会議法には『独立』が明記され、政府から独立して審議や会員選考をしていると説明して理解を得てきました。会員選考で独立性に疑問が生じれば、国際的な評価が非常に下がる恐れがあります」

 ――科学アカデミーは、なぜ独立性が重要なのですか。

 「科学アカデミーは、科学的…

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