第3回「意外」と記された安倍氏の反応 「放送番組におかしいものがある」

有料記事放送法めぐる総務省文書問題

中島嘉克
写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
[PR]

 総務省が行政文書だと認めた計78枚にのぼる資料には、放送法が定める「政治的公平」の解釈をめぐって、安倍政権下での首相官邸側とのやりとりが克明に記録されている。

 総務省は大筋の流れを認めつつ、文書を精査したところ、詳しい内容については正確性が確認できなかったとしている。2015年の国会で、解釈追加につながる質問をした元総務政務官自民党の藤川政人参院議員は、朝日新聞の取材に応じていない。

 緊迫していた当時の政治状況とともに、一部の政治家によって解釈が決められていった様子を文書からたどった。

     ◇

 放送法の政治的公平をめぐる解釈について、首相の安倍晋三に説明があったのは15年3月5日だった。

 首相補佐官の礒崎陽輔に加え、首相秘書官の今井尚哉と山田真貴子が同席した。

 今井と山田は「総理単独の報道が萎縮する」「メディアとの関係で官邸にプラスになる話ではない」などと、解釈の追加に否定的な姿勢を示した。

 ところが、安倍が見せたのは「意外と前向きな反応」だった。

 安倍は「現在の放送番組にはおかしいものもあり、こうした現状は正すべき」「『JAPANデビュー』は明らかにおかしい」などと、日本の台湾統治などを扱ったNHKスペシャルを名指ししながら批判した。

 礒崎はこの場で、TBSの「…

この記事は有料記事です。残り2272文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

放送法めぐる総務省文書問題

放送法めぐる総務省文書問題

放送法の政治的公平性をめぐる首相官邸側と総務省側の安倍政権下のやりとりを記した内部資料。総務省が公開するまでの経緯や問題点をまとめた特集ページはこちら。[もっと見る]