「自分」の考え方や話し方を人工知能(AI)に覚え込ませ、「自分」そっくりのロボットを作る。そんな商品が注目されている。死後でも、家族や友人が好きな時に「自分」を取り出し、声を聞いたり、話したりすることができる。その光と影とは。
パパやママとそっくりの声で、世界や日本の童話を読み聞かせてくれる――。玩具会社タカラトミーは昨年、AIを使った読み聞かせスピーカー「coemo(コエモ)」の販売を始めた。
例えば、読み聞かせの声を親の声にしたい場合、親は事前に、「一人分が350ドルになります」などと言った例文を15分程度、アプリを通してAIに覚え込ませる。すると、コエモは親が読んだことがない昔話や童話を、親の声色やしゃべり方の特徴を反映して、子どもに読み聞かせてくれる。
開発した同社の五島安芸子さんによると、「子どもに話しかけるような明るい声で録音するのがポイント」という。コエモが読み聞かせる物語は、「赤ずきん」「文福茶がま」などで、順次拡大中。購入した客からは、「自分の声のAIだからか、ユーチューブなど他人の声の読み聞かせに比べ、子どもが寝付くのが早い」と評判だという。
商品は1万2980円。想像以上に反響が大きかったといい、日本おもちゃ大賞2022「エデュケーショナル・トイ部門」大賞なども受賞した。五島さんは「おもちゃの可能性を広げたかった」と話す。
コエモがまねするのは物語の決められた文章だけに限定されており、詐欺などに悪用できないような仕組みになっているという。
AIの商品利用は、「話し方」だけではない。「考え方」を保存するという商品も生まれている。
自分の「AIクローン」を 富裕層に人気
デジタルクローンを作る企業「オルツ」(東京都)には、会社の創業者など富裕層を中心に、自らのAIクローンを作りたいという声が寄せられているという。
例えば、「おじいちゃん」の…
- 【視点】
テレビなどでAIによる音声で読まれるニュースが流れると、私は途端にチャンネルを替えてしまいます。理由はわかりませんが、どうにも薄気味悪くて聞いていられなくなるんです。ですから、この商品がヒットし、日本おもちゃ大賞2022「エデュケーショナル