大阪フィル「マチネ」公演、観客半減 4月は井上道義肝いりの2曲
クラシックの演奏会といえば夜で週末。そんな「常識」を覆そうと、平日の昼間の本格的な公演に取り組んできた大阪フィルハーモニー交響楽団の「マチネ・シンフォニー」が苦境に陥っている。コロナ下で入場者が半減し、回復がままならないからだ。
マチネシリーズは、2009年にスタートした。「安・軽・短」が主流で、おなじみの名曲ばかりを集めた昼公演とは一線を画し、重厚な曲も聴かせてきた。会場は主にザ・シンフォニーホール(大阪市北区、1704席)で、これまでに28回を重ねてきた。
ファンは順調に増え、コロナ前の第22回(19年10月)までの平均入場者数は千人超に。しかし、コロナでいっきに落ち込み、第23~28回の平均は566人。28回(22年11月)は443人と、低調なままだ。
「主な客層だったシニア世代に、いったん変わってしまった生活様式を戻してもらうハードルが高いと感じる。定期演奏会など他の公演に比べても、お客様がなかなか戻って来ない」と楽団側はみる。
来月は井上道義、「最後」のマチネ
この企画に特にこだわってきたのが、元首席指揮者の井上道義だ。第2回(09年12月)に初登場して、28公演のうち19回でタクトを振った。
誰もが知っているチャイコフスキーのバレエ音楽「白鳥の湖」などからの抜粋と、演奏機会が少ないショスタコービチの「ロシアとキルギスの主題による序曲」を組み合わせたり、サン=サーンスに焦点をあてたり、プログラムにも知恵を絞ってきた。
第29回となる4月の「マチネ・シンフォニー」は、24年末での引退を表明している井上にとって「最後のマチネ」になる。「たくさんのお客様と一緒に、華やかな雰囲気でマエストロを迎えたい」と楽団。チラシ配布のほか、SNSなどでの宣伝にも力を入れている。
ショスタコービチ 崔文洙がバイオリン独奏
4月の「マチネ・シンフォニー」は、ショスタコービチから2作品を演奏する。井上が大切にしてきた作曲家だ。
バイオリン協奏曲第1番は…