「大蛇」が真夜中を1000キロ疾走 コロナ禍を経てもつながる縁
張春穎
1千キロ先にも駆けつけ、地域と地域を結ぶ大蛇がいる。
コロナ禍の眠りから目を覚まし、再び列島各地へと動き出した。
昨年11月、真夜中の高速道路を小型バスが走っていた。乗客は「白蛇」。東京五輪にあやかった体長20.20メートルの手作り品「白蛇みこし」だ。
その大きさからぐるりと体を曲げて押し込むのがやっとで、29人乗りのバスの席という席、窓という窓を塞ぎ、通路には尻尾がどんと横たわる。
大きな口を開けた先には運転席。急ブレーキをかければ、前にずれて運転手をかみそう。そんなことがないように、ロープでしっかり固定した。
生みの親の人間たちは狭い席で寝苦しい夜を過ごした。景色なんか見えない。でも、真っ暗だから仕方ないかとあきらめながら。
苦労して目指す先は、山口県岩国市にある国指定名勝の錦帯橋だ。通ったバスのルートは約1千キロで、14時間かかった。
岩国の地で驚きの告白
「交流を続けたいし、知名度も上げたい」
こう語るのは、白蛇みこしを管理する群馬県沼田市の老神(おいがみ)温泉観光協会の萩原忠和協会長(62)だ。
コロナ禍、光熱費の高騰、人…