生物多様性保全へ政府が戦略 外来種や食品ロス対策も、課題は実行力

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記者解説 科学みらい部・矢田文

 国連の生物多様性条約の締約国会議(COP15)が昨年12月、カナダ・モントリオールで開かれた。2030年までに達成するべき23項目の「昆明―モントリオール目標」が採択された。20年に中国・昆明で会議を開き新目標を採択する予定だったが、コロナ禍で2年延期されていた。

 項目の内容としては、陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全する「30by30(サーティ・バイ・サーティ)」などがある。世界で年間2千億ドルの資金確保も求められており、各国は残り7年での達成に向け走り出している。

 生物多様性とはすべての生き物たちの個性やつながりのことだ。私たちのくらしはその恵みによって成り立っている。食料や衣類、医療などに利用される生物は約5万種とされ、世界のGDPの半分以上が、自然資本に依存しているとの試算もある。

 世界自然保護基金(WWF)によると、過去約50年間で地球上の生物多様性の約7割が失われた。世界経済フォーラムの22年の報告書では、今後10年で起こりうる最も深刻な脅威として多様性の喪失を、気候変動異常気象に次ぐ3位に位置づけている。

 そのリスクや、生き物とくらしのつながりを認識していない人も多い。内閣府の22年の調査では、国内で「生物多様性の意味を知っている」と答えた人は3割未満だった。

ポイント

 生態系を守るための国際目標が生物多様性条約締約国会議(COP15)で決まった。2030年までに陸と海の30%以上を保全する「30by30」といった23項目がある。日本でも国家戦略がまとまりつつあるが目標達成には不十分で、社会の変革が必要だ。

 こうしたなか、日本では政府…

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