首相「できなきゃ、外務省なんていらねえ」 ウクライナ訪問の舞台裏

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西村圭史 鬼原民幸 高橋杏璃
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 岸田文雄首相によるウクライナへの電撃訪問はどうやって実現したのか。秘密保持を徹底し、安全を確保しながら、インドを発ち、ポーランド経由でキーウへ。政権幹部らへの取材を通して、その舞台裏を追った。

 雷雨が地面をたたきつけていた。ニューデリー中心部にほど近いタージパレスホテル。20日午後8時(日本時間同日午後11時半)ごろ、ホテルに複数ある裏口の一つから、岸田首相や政府高官ら数人が乗ったバスが走り出した。綿密に、かつ、秘密裏に準備されたウクライナ訪問の始まりだった。

 その直後、車中に緊張が走った。バスの車窓から、傘を片手に辺りを見回す3人ほどの記者らしき姿が見えた。記者に見つかったら、計画が水泡に帰すことになりかねない。しかし、首相が車中にいると気づいた様子はなかった。

 バスはパラム空軍基地に着いた。首相はチャーター機に乗り込んだ。チャーター機はいつ出発したのか。

列車に乗車、目に入った報道機関の姿

 首相が日本到着まで乗ったチ…

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2023年3月26日23時59分 投稿
    【視点】

    岸田首相のキーウ訪問は日ロ関係の悪化を恐れずに訪問したというよりも、日本が国際社会においてプレーヤーであり続けるためにも不可欠なものであったと考える。G7の議長国としてゼレンスキー大統領と会談するというだけでなく、中ロ首脳会談が行われるタイ

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    遠藤乾
    (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
    2023年3月27日8時42分 投稿
    【視点】

     外務省なんていらない、という岸田首相は、その場にいた誰かからリークされた言葉ですね。側近はリーダーの強い主導性を強調するものです。国内メディアはそれを踏襲しているように映ります。  それより、欧米の報道をみていて、気になったのは、BBC