「あの日」「あの人」重ねたエンドロール レトロなミニシアター休館

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三宅梨紗子
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 名古屋市東区のミニシアター「名演小劇場」が23日の上映を区切りに休館した。小規模作品や海外の良作の上映で知られたが、コロナ禍で客が減少。最近の電気代の高騰なども重なって決めたといい、この日は休館を惜しむ多くのファンが詰めかけた。

 1972年に演劇ホールとして開館。音楽会などを行ってきたが、2003年に映画館としてリニューアルし、105席と49席の2スクリーンで営業してきた。コロナ前の19年に比べ、売り上げは4割ほどに落ち込んでいた。

 休館前の最終日の上映は、「フランス映画の貴公子」とも呼ばれた名優ジェラール・フィリップにまつわる3作品。最終上映でエンドロールが流れると、観客から拍手が起きた。

 劇場を運営する名演会館の取締役、吉田芳雄さん(74)は「たくさんの会員、映画ファンに愛されここまで来ることができた。今後はなんらかの形で、名古屋の地における新しい文化の発展に寄与したい」とあいさつした。

 今後の劇場の活用方法は未定で、特別上映会を行うこともあるという。

満席続いた是枝作品「あのときはよかったけど…」

 支配人兼映写係の阿部勇司さん(59)は20年前、映画館としてリニューアルしたころをよく覚えている。演劇ホールだったため、閉館する他の映画館からドリンクホルダー付きの座席をもらったり、カーペットを敷き詰めたりした。

 最も入場者が多かったのは…

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    岩尾真宏
    (朝日新聞名古屋報道センター次長)
    2023年3月24日12時0分 投稿
    【視点】

    「みんなで笑って、みんなですすり泣く。同じものを見て同じ感覚を共有できる」。記事中にある支配人兼映写係の阿部勇司さんが語る映画館の魅力についての言葉に深くうなずく一人です。個人的には、これまで見た映画の中で最高傑作だと思っている「ニュー・シ