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虐待に過干渉、障害…「孤立出産の背景に理解と支援を」慈恵病院長

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聞き手・堀越理菜
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 自宅で死産した赤ちゃんを、「天国で安らかに眠って」などと書いた手紙とともに段ボール箱に入れた行為は死体遺棄罪にあたるのか。ベトナム国籍の元技能実習生レー・ティ・トゥイ・リン被告(24)に対して24日、最高裁第二小法廷が判決を言い渡す。

 国内で唯一、担当者にだけ身元を明かす「内密出産」を実施する慈恵病院(熊本市)の蓮田健院長に、事件の背景や、妊娠を誰にも相談できずに追い詰められる女性たちの実情について聞いた。

 ――リン被告は逮捕され、地裁、高裁と有罪判決が言い渡されています。

 リンさんは自宅で死産した赤ちゃんの遺体を段ボール箱に入れるなどしたことを、「遺体の隠匿」などとみなされました。

 病院でも死産した赤ちゃんは段ボール箱に入れて冷蔵庫に安置しますが、これも罪でしょうか。自宅で一人で出産する場合は、死産だったときに備えて生まれる前に立派な桐(きり)の箱と花を用意し、警察などにすぐ電話しないと罪に問われる――ということになってしまう。

 そもそも出産は、女性も生きるか死ぬか。出産してすぐ連絡できないこともあります。もともと電話できない事情があるから、(医療従事者らの立ち会いなしに産む)孤立出産になっていますし。

 最高裁でもやはり有罪ということになると、今後、「未受診妊婦が病院以外で死産・流産すると逮捕される」といううわさが広まりかねません。孤立出産した女性が、逮捕されたくないばかりに赤ちゃんを自分で埋めてしまいかねない。無罪を出してほしいです。

孤立出産への厳しい視線、背景に「疑心と懲罰感情」

 ――同様に孤立出産して死産・流産し、遺棄などに問われた例は過去にもあります。

 今年、東京在住の女性から慈恵病院に電話がありました。知人の家で流産し、近くの産婦人科医に救急車で行ったが、どこかから警察に通報された。

 幸い逮捕には至りませんでし…

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