空耳アワーに幕、採用91回の常連が振り返る情熱 お気に入り作品は
タレントのタモリさんが司会を務めるテレビ朝日の長寿番組「タモリ倶楽部」が3月末、40年以上の歴史に幕を閉じる。名物コーナー「空耳アワー」は、外国語で歌われているのに、あたかも日本語のように聞こえる歌詞を視聴者から募集する企画で人気を集めた。常連投稿者の相賀浩紀さん(30)=岡山県玉野市=はいま虚脱感の中にいる。
「空耳を中心に生活が回り、ほとんどライフワークだった。他にやることもなく、喪失感が大きい」
10年以上の投稿歴があり、採用数91回を誇る相賀さんは肩を落とす。
出会いは高校生の時の英語の授業。発音のおもしろさに気づいてもらおうと、先生が流した空耳アワーの映像に釘付けになった。メタルの曲調の洋楽の歌詞が「カレー、そば、パスタ、ピザ、スープ、何なんすか?」と聞こえた。
赤点レベルの苦手科目だった英語を「初めておもしろいと思った」。番組や動画サイトもチェックし、日を置かずに投稿しようと思うようになった。
クイーン、メタリカ、ドリームシアター……。空耳を見つけやすいと言われるCDを聴いても、そう簡単には見つからない。リビングのCDラジカセの前に小さなテーブルと座布団を用意し、何時間もネタ探しを続けるようになった。
ある日、トム・ジョーンズの「恋はメキ・メキ」が流れてきた。冒頭の「Home grown」という歌詞が「ほんこん」と聞こえた。迷わず投稿すると採用された。映像には期待通り、芸人のほんこんさん本人が登場した。
それまで賞らしい賞はとったことがなかった。だが、番組内で司会のタモリさんやソラミミストと呼ばれる安斎肇さんが笑ってくれた。景品の耳かきも贈られ、担任の先生から「番組見たよ。面白かった」と言われた。
「趣味という趣味もなく平凡な生き方をしていたが、自信がつき、のめり込むようになった」
ネタがよく見つかるゴールデンタイムは
高校卒業後、介護や医療関係…
- 【視点】
■「タモリ倶楽部」と「空耳アワー」が成立する時代の終わり 常連投稿者の相賀浩紀と、このネタで記事を書いた渡辺洋介山選手をマジ、リスペクトする。相賀の情熱を、渡辺の昔の「宝島」のような、あるいは深夜番組のような筆が見事に伝えている。
- 【提案】
「流浪」しながら40年も続いたテレ朝のタモリ倶楽部。私は新聞記者になって30年近く、金曜夜に疲れ切った頭をマッサージする感じで時折楽しみました。何げない日常をちょっと違った角度から見るとこんなに面白いんだということで、それをお上品にしたのが