吹奏楽部、いまどきの「上達への近道」 PC画面で演奏の波形確認
放課後の東京都羽村市立羽村第一中学校。トランペットやトロンボーンなど吹奏楽部の金管パート8人が、半円状に並んで練習を始めた。
20分ほどたつと、顧問の玉寄勝治さん(51)はパソコンにつないだヘッドホンを各自に着けさせた。正確なリズムを刻むメトロノームの音と、2本のマイクが拾う自分たちの音を耳から入れながら演奏させる。それを録音し、すぐ再生して皆で聞き直す。
パソコン画面で演奏の波形を見せながら「音が良くても、時間軸が不正確でずれる演奏はダメ。プロは波形がギザギザにならないよ」と指導し、再び演奏させた。
コンクール入賞常連校の同校で、玉寄さんが部活の練習にICT(情報通信技術)を使うようになったのはコロナ禍がきっかけだ。
3年前の一斉休校中、まず音楽制作ソフトのドラム音と、ベースなど一部の楽器の演奏を合成し、一曲通した音源を部員や卒業生に送信した。受け取った側はそれをヘッドホンで聞きながら自宅などで繰り返し演奏し、録音。そのなかで良かった演奏のデータを送り返す。玉寄さんが個々の音をソフト「ロジックプロ」で合成した。
別撮りした動画も組み合わせ、一緒に演奏したかのようなハーモニーの動画を作り、共有サイトで公開して話題になった。
「合成以外にも、一人の音をじっくり聞いて丁寧に指導したり、自宅での練習中にZoomで助言したり……。集まれないからやむをえずだったが、上達に役立つ使い方がたくさんあると気付いた」
部活再開後も、練習でICT…