生活保護の減額決定を取り消し 賠償請求は棄却 和歌山地裁判決

高田純一
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 国が生活保護の基準額を引き下げたのは、生存権を保障した憲法25条に違反するなどとして、和歌山市の受給者が、国や市に減額決定の取り消しや損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、和歌山地裁であった。高橋綾子裁判長は減額決定を取り消した。一方、賠償請求は棄却した。

 同種訴訟は全国29地裁で起こされ、判決は16件目。大阪、熊本、東京、横浜、宮崎、青森の6地裁に続いて減額決定を取り消した。

 国は2013~15年、生活保護費のうち食費など生活費にあたる「生活扶助」の基準額を改定。一般世帯の消費実態に比べて高額だとして3年間で平均6・5%、最大で10%、総額670億円を削減した。

 原告側は、基準額の引き下げについて「『健康で文化的な生活』を侵害する」と主張。基準改定の手続きについて「データや算定手法に恣意(しい)的な選択があり、判断過程に欠落がある」などとして、裁量権の逸脱にあたると訴えていた。

 一方、被告側は「最低限度の生活は、その時々の国民生活などとの相関関係で決定されるべきものだ」と反論。「国の財政事情を無視できず、政策的判断を必要とするものであり、政策的な見地から裁量権が認められる」などとして、請求を退けるよう求めていた。(高田純一)

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