健大高崎の森田「祖父のおかげで主将に」 活躍する姿、天国に届け

吉村駿
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 (24日、第95回記念選抜高校野球大会2回戦 報徳学園7―2健大高崎)

 健大高崎の二塁手、森田光希主将(3年)は昨年1月、祖父の有賀和夫さん(当時80)を脳腫瘍(しゅよう)で亡くした。森田主将は静岡県富士宮市出身。中学生のころまでは実家で祖父と同居していた。小学3年で野球を始めてから、ずっと一番に支えてくれた。

 毎朝5時から自宅そばのグラウンドに出て自主練習に付き合ってくれた。野球経験はなかったが、母の裕美さん(46)と一緒に、ボール代わりにバドミントンの羽根を投げてくれた。試合の時には県外でも必ずかけつけてくれた。

 「厳しすぎる」と思うことも多かった。ある日、試合を終えて家に帰ると、「整列の時、指が曲がっていた。姿勢からしっかりしろ」と指摘された。朝、「おはよう」のあいさつを忘れると、「野球の前に礼儀だろ」と怒られた。「野球に関係ない」と思いながら、しぶしぶ言うことを聞いていた。

 昨夏、そんな気持ちが大きく変わった。青柳博文監督から人間性を買われ、主将を任されたからだ。特別なことをしていたつもりはないが、健大高崎にきてからも祖父の教えを守り、練習への姿勢や礼儀で手を抜いたことはなかった。「主将になれたのは、祖父のおかげだ」と思った。

 この日は犠打を決め、ピンチではゴロを確実にさばいたが、無安打に終わり、チームは敗れた。次こそは甲子園で活躍する姿を天国の祖父に見せたい。「夏にもう一度、ここに戻ってくる」。そう誓った。(吉村駿)

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