顔がこわばった氷見のエース 「楽しんでいけ」捕手の声で立ち直った
(24日、第95回選抜高校野球2回戦 氷見1―4山梨学院)
「実力不足でした」
氷見のエース青野拓海投手(3年)は、初めての甲子園での自身の投球についてこう語った。
一回に1点を先取し、チームはいつも以上に盛り上がり、流れと勢いを引き寄せたかに見えた。しかし、二回につかまった。
先頭の4番に三塁打を放たれ、続く5番に甘いスライダーを捉えられ、適時打で同点に追いつかれた。さらに1死三塁での適時打で逆転された。これも甘く入ったスライダーだった。
5日前あたりから投球フォームのバランスが崩れ、調子がよくなかったという。制球が乱れ、直球の球速もキレも悪く、変化球も甘くなっていた。試合は雨で1日順延となり、その間も修正に取り組んだが、本調子とは言えなかった。
逆転された後、顔がこわばっているのが自分でもわかったという。主将の大沢祥吾捕手(同)がマウンドに駆け寄ってきて、「甲子園は楽しんでいけ」と声を掛けた。その言葉で笑顔を取り戻し、後続を断った。
投球は「ダメダメだった」と振り返るが、打撃は4打数2安打で、「練習の成果が出た」と評価した。低めのボール球には手を出さず、先取点のきっかけとなった敵失で出塁した際も全力で走った。
「これが今の実力」。走り込んで、フォームを崩さないよう鍛え上げ、「夏に必ず戻って勝つ」と誓い、甲子園を後にした。(朝倉義統)
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