散々な結果に涙、目覚めた作新学院 バントを使わない野球が生まれた
安藤仙一朗
史上初の春夏連覇、怪物・江川卓伝説――。高校野球史に輝かしい実績を刻んできた作新学院(栃木)だが、長らく甲子園で勝てない時期があった。
古豪復活を遂げたのは2011年。当時、就任6年目の小針崇宏監督(39)はバントを使わない攻撃的な采配をふるい、38年ぶりの夏1勝から一気に全国4強まで勝ち進んだ。そこには、背景があった。
2011年、野球ができる喜びをそれまで以上に感じました。3月11日に東日本大震災が発生し、普段通りに練習ができない時期があったからです。
学校がある宇都宮市でも最大震度6強の揺れがありました。家の中がめちゃくちゃになってしまった部員もいて、2週間ほど活動ができませんでした。
再開から数日後、初めての練習試合がありました。
甲子園の出場経験がある春日部共栄(埼玉)のグラウンドに出向いて、2試合を戦いました。
結果は散々でした。
1試合目が0―8、2試合目も3―16で大敗しました。
選手たちはとても悔しかったはずです。自校のグラウンドに戻ると、私が集合をかけたわけではないのに、輪ができていました。
涙ながらに、他の部員に訴えかける3年生がいました。
「こんな自分でごめん。俺…