地方分権の「行司役」は機能を果たしているか 問われる存在意義

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論説委員・前田史郎=社会社説担当
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 2000年の地方分権改革でできた国地方係争処理委員会という機関がある。国の関与に不満を持つ自治体から申し出を受け、客観的に裁定する第三者機関だ。5人の委員は総務相が任命する。

 過去に受けた申し出は計10件で、うち7件が沖縄県からだ。米軍普天間飛行場辺野古移設を巡る国の関与について県が裁定を仰いだが、ここ数年の結論は却下か不採用だった。事態が膠着(こうちゃく)する現状を目の当たりにすると、委員会は解決機能を果たす気があるのかとすら思える。

 論点の一つは国の設計変更申請を県が不承認としたことについて、防衛省が国土交通相に審査請求して取り消させたことの是非。県は「私人の権利救済を目的とする行政不服審査法の乱用だ」と主張したが、昨年7月の委員会決定は「適法な審査請求に対する有効な裁決」と、国の言い分そのものだった。

 もともとは身近なテーマでの…

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