第3回「お前はお前で生きろ」突き放されたのに 援助できるか聞かれた弟は

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川野由起
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A-stories 家族に知られたくなかった… 生活保護と「扶養照会」

 いま埼玉県内で生活困窮者の支援活動にあたる男性(67)は、以前、生活保護を受けていた時期がある。

 そこに、思いもよらない手紙が届いた。

 「お兄さんに金銭的な援助をすることはできますか」

 差出人は、埼玉県内のある福祉事務所

 生活保護の申請があったとき、申請者の親族に対し、仕送りができるかどうかを尋ねる扶養照会の文書だった。

 寮付きの運送会社で働いていた6歳年上の兄は、仕事を失い、ホームレス状態になっていた。その兄から相談を受け、生活保護の相談をしてみるよう勧めたのは、男性自身だ。

自らも生活保護「自分がもらいたいぐらい」

 驚いたのは、別の自治体に住んでいるとはいえ、生活保護を受けている自分のところにまで、仕送りができないかを尋ねる文書が届いたことだ。

 「生活保護を受けているって福祉事務所もわかるはずなのに。自分がもらいたいぐらいと返事を書いた」と苦笑する。

 男性はもともと、両親と兄と一緒に暮らしていた。

 転機は2000年ごろだった…

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