四つの学校でがんばった ウクライナのディーマ君が小学校を卒業

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浅倉拓也
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 大阪市生野区の大池小学校6年生、ドミトロ・マロヴィチコ(愛称・ディーマ)君は、夕方自宅に帰ると休む間もなくパソコンに向かう。

 戦禍のウクライナから逃れて来たディーマ君は、首都キーウの学校の6年生でもある。日本時間の午後に始まる授業に、オンラインで参加している。

 現地の子どもたちも、いまはオンライン授業だ。避難先のフランスドイツから参加する友達もいる。

空襲警報でオンライン授業も中断

 3月中旬、取材で記者が自宅を訪れたとき、オンライン授業はすぐに中断した。空襲警報だ。現地の子らは地下などへ避難する。

 やがて画面に授業再開の予定時間が表示された。中断は2時間ほどだった。

 「ほとんど毎日。3時間とか、長い時は10時間とか」。母親のオルハさん(37)がため息をつく。

 「四つの学校に行っています」

 ディーマ君は、記者に初めて会った時、日本語でそう教えてくれた。

 大池小学校の他、週2回は同じ生野区内で日本語指導がある小路小学校へ。

 午後は毎日、一人でバスに乗って市内の清風情報工科学院の日本語科にも通う。

 アジア各地から来た20代の留学生が占める教室で、制服にランドセル姿は目立つ。でも、物おじせず、先生の問いかけには積極的に発言する。それでも時々、睡魔でまぶたが重くなる。

日本の学校が大好きなわけは

 ロシアのウクライナ侵攻が始まった昨年2月。キーウ市内のマンションに住んでいたディーマ君は、爆撃の音を何度も聞いて、地下の駐車場に逃れた。100人ほどの住人が避難していた。

 ロシア兵が迫っている。化学…

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    井本直歩子
    (元競泳五輪代表・途上国教育専門家)
    2023年3月26日20時53分 投稿
    【視点】

    通える学校が4つもあり、午前も午後も勉強でき、母国の公教育を継続でき、避難先の国の言語を学ぶことができることは幸運と言わざるを得ません。こういったニュースは心が温まりますが、同時に私が出会ってきた難民の子どもたちの境遇とのコントラストに唸っ

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    田中宝紀
    (NPO法人青少年自立援助センター)
    2023年3月30日23時33分 投稿
    【視点】

    まずはディーマ君、ご卒業おめでとうございます!楽しそうな姿にほっとします。 2022年度、私たちが運営する支援の場では19人のウクライナから逃れてきた子どもたちを受け入れました。彼らの中にもディーマ君のように、日本の学校に通うかたわら