さいたま市議会の自民会派はなぜ2つ? 旧大宮と旧浦和の対立いまも

統一地方選挙2023自民

岩堀滋
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 さいたま市議会(定数60)で、自民党会派の分裂が続いている。2001年の合併からの20年余で大きく2度合流した時期があったが、いずれもまた分かれてしまった。合流すれば単独で第一会派になれるところだが、分裂しているため正副の議長職をともに明け渡した時期もある。4月9日投開票の市議選を前に、その理由や影響を探った。

 さいたま市は浦和、大宮、与野の3市が01年に合併。05年に岩槻市が加わって現在の形になった。当初は合併特例で100超あった定数は、11年4月に現在の60になった。

 現在の市議会で自民は、旧大宮市選出議員が多いさいたま市議会自民党議員団(さいたま自民、15人)と旧浦和市の多い自民党さいたま市議会議員団(自民市議団、7人)の2会派に分かれている。さいたま自民は、立憲民主党の議員らでつくる「民主改革さいたま市議団」(15人)と同数で最大会派だ。

 自民2会派は少なくとも05年5月~08年4月と11年5月~17年3月は「自民党さいたま市議会議員団」として一本化し、所属議員も20人を超えて最大会派だったこともある。

 もともと、会派が分かれたおもな原因は大宮と浦和の二大都市間の主導権争いだ。だが、この問題の中心になっていた浦和区から大宮区への市庁舎移転が昨年4月に決まったことで、一応の決着をみていた。

 これを後押しにして合流の動きもあった。同党市議の一人は「昨年12月まで、1年近くにわたり会派統一に向けた協議会を開いた」と打ち明けるが、結局は実現出来ずに流会となった。

 合流できなかったのは、市長選をめぐるあつれきをいまも引きずっていることだという。

 現職の清水勇人市長は、もともと見沼区(旧大宮市)選出の自民の県議だった。09年の市長選では旧民主党の支援を受け、自民・公明の推薦した現職らをやぶり初当選した。この市長選に向け、一本化していた自民会派が分裂したのだ。

 その後、11年の市議選を経て再び合流したが、今度は17年市長選に自民独自候補として市議を擁立しようとし、頓挫したことを機に会派が分裂。市長に近い立ち位置のさいたま自民と、遠い位置の自民市議団に分かれた。分裂当初は自民市議団が優勢だったが、その後会派を移った議員もいて、いまでは数が逆転している。

 会派が分裂している影響は、市連が結成されていないことにも現れている。首都圏の政令指定市で、自民党の市連がないのはさいたま市だけ。ある自民市議団の議員は「議会活性化と言える半面、支援者にわかりにくい形になっているので申し訳ない」と話す。県連からも、一本化するように言われ続けているという。

 民主の議員の一人は「一本化すれば、数にものを言わせる展開になりかねない。分裂していることにより民主的に協議しながら議会運営ができているので、こちらとしてはありがたい」と話す。公明党市議の一人は「本来は一本化が一番いいが、まとまれない事情があるのだろうから仕方がない。自民党の場合は、自らの主義主張によって動く『自分党』の議員が多い。改選後の動向を見守りたい」と言う。

 今度の市議選では「さいたま自民」13人、「自民市議団」7人の各現職がそれぞれ立候補予定。市内10選挙区のうち北、緑、岩槻の3選挙区で両会派がしのぎを削る形になりそうだ。

 あるさいたま自民の市議は「今度の市議選では目立った争点がなく、会派が分かれていることで有権者が混乱する可能性はあるが、最終的に選挙は候補者の力量で決まる。選挙後に、改めて一つになることを探ればいい」岩堀滋

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