教室に入れない子との向き合い方 校長室に築いた「基地」で養う自信

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聞き手・高木文子
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 フリースクールに通う子どもの「出席扱い」について、現場の校長はどう判断し、何に悩むのか。昨年3月まで岐阜市などの小学校で8年間校長を務めた河村正志さん(61)に聞いた。

 ――学校に行きづらさを感じる子に、どう接していましたか。

 教室に入れない子がいると「校長室で過ごしやぁ」と言って、年間で数人が校長室で過ごしていました。学校に来るから出席日数にはなるけれど、自分の教室には入れない。それでいいのか、と悩みましたね。

 ある程度の期間を校長室で過ごして安心できるベース(基地)を築けば、自信を持って学級に顔を出したり、担任の先生と話したりして関係を広げていけるから大丈夫だと思います。

 ――校長室では何をしていましたか。

 私の専攻は理科なので、理科の実験をしたり、歴史や車などその子が大好きなことについて話を聞いたり。1対1でどっぷり関係をつくって安心感が持てたなと思ったら、その学年の教科のプリントもやって、子どもがそれを担任に見せにいく。親さんも「学校で勉強しているな」と安心する。子どもの様子を見ながらちょっとずつ前向きにしていく。そのくり返しです。

校長を務めた8年間で3例を「出席扱い」にしたという河村さん。「この子にとっていま学校に来させることがいいことなのか、どこに居場所があるのがいいのかと悩みました」と振り返ります。

 ――気をつけたことはありますか。

 僕を苦手とする子もいるし…

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    内田良
    (名古屋大学大学院教授=教育社会学)
    2023年3月26日18時49分 投稿
    【視点】

    インタビューのなかでさりげなく河村先生が「僕を苦手とする子もいるし」と語っていらっしゃるのが印象的です。教師も一人の人間であり、どれだけやさしい人であったとしても、それに合わない子供がいる。だからこそ、「関われる大人が複数いて、本人が選んで