マイナカード全国最低水準から急上昇の町 「金で釣られてる」の声も

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蜷川大介
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 マイナンバーカードの申請率が昨夏まで全国最下位レベルだった高知県四万十町で取得者が急増し、今年2月末には85・63%に達して全国23位に躍り出た。カード取得者に3万円分の商品券を町が独自に配った効果だという。

 町や総務省によると、町人口は約1万6千人。昨年7月末時点の申請率は27・99%(約4500人)で、全国1741市区町村の中で1730位だった。町内の87%を林野が占め、「マイナポイントをもらっても、使えるコンビニが近くにない」といった声があった。

 潮目が変わったのは昨年6月、政府がカードの普及率を地方交付税の算定に反映させる考えを打ち出してから。歳入の36%(21年度決算)を交付税に頼る町は、9月議会に商品券の配布を提案した。

 町の貯金から4億円を取り崩して、取得済みの人も含めて町民の8割に配る案で、議員からは「国からは2万円分のマイナポイント、さらに町から3万円くれるといわれ、金で釣られているようだ。住民にとってカードを作ることは本当に良いことなのか」といった質問が出た。町側は「現時点でカードのメリットは少ないが、今後の行政事務では避けられない」などと説明し、予算は認められた。

 3万円という水準は「コロナ禍や物価高騰の影響を受けている町民生活支援の観点から決めた」(町民課)という。

 昨年11月に町内276店で使える商品券の配布が始まると、申請は急増。高齢者や子どもの分も家族が代理申請するケースが続出した。2月末までに1万3793人がカードを申請して予算が足りなくなり、町は2月にさらに2千人分、6千万円の予算を追加した。

 県市町村振興課などによると…

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    中川透
    (朝日新聞編集委員=経済、暮らしとお金)
    2023年3月25日14時11分 投稿
    【視点】

     カードの交付状況の全国比較でプレッシャーをかけられ、普及率を高めないと将来の財源に影響が出るかもしれない。マイナンバーカードをめぐる国の施策は、自治体にとって「ムチとムチ」の面があるようです。  カードが普及しないと便利なしくみが根づか

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